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ニュース7(11月20日放送)
NHKプラス 配信期限 :11/27(水) 午後7:30 まで
政府が週内のとりまとめを目指す新たな経済対策をめぐり、国民民主党は20日午前の役員会で、自民・公明両党から示された修正案を大筋で了承しました。
これを受けて、自民党の小野寺政務調査会長と公明党の岡本政務調査会長、それに国民民主党の浜口政務調査会長は20日午後、5回目となる政策協議を行い、修正案について合意しました。
修正案では、国民民主党が主張するいわゆる「年収103万円の壁」について「税制改正の中で議論し、引き上げる」と明記したほか、ガソリン減税については「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」としています。
その上で、3党の政策責任者は合意文書を交わし、経済対策を速やかに実行に移すため、裏付けとなる今年度の補正予算案を早期に成立させることなどを確認しました。
「103万円の壁」の見直しなどには税制の改正が必要になることから、今後、3党の税制調査会長による協議で具体的な検討が進められることになります。
修正案 追加された内容は?
政府の新たな経済対策の修正案では、国民民主党の主張を踏まえ、今後、行われる来年度の税制改正の議論の中で、いわゆる「年収103万円の壁」を見直すことなどを追加で明記しました。
追加された文言は次のとおりです。
「いわゆる『103万円の壁』については、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げる。また『ガソリン減税(いわゆる暫定税率の廃止を含む)』については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る。これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得る」
「手取り」の文言も追加
経済の現状認識や経済対策の基本的な考え方について記載しているパートでは、国民民主党が重視する「手取り」などの文言を新たに盛り込みました。
▽当初の案
「前向きな動きを、国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で実感できるよう、更に政策を前進させなければならない」
▽修正案
「前向きな動きを、国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で手取りが増え、豊かさが実感できるよう、更に政策を前進させなければならない」
このほか、修正案では「デフレに後戻りしない」という内容の文言も加えました。
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自民 小野寺政調会長「与野党協議の1つのひな型に」
自民党の小野寺政務調査会長は記者団に対し「選挙を経て『手取りを増やす』ということばは、国民に広く受け止められたのではないかと思い、今回特に『103万円の壁』について深く議論した」と述べました。
その上で「与党で過半数に満たない中、野党の意見をよく聞いて協力体制を作り、政策決定を進めていくことが基本になる。今回の議論の形はおそらく初めての試みであり、より丁寧に野党と協議をする1つのひな型になったと思う」と述べました。
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公明 岡本政調会長「今後も誠実な協議続けたい」
公明党の岡本政務調査会長は記者団に対し「すばらしい結果が残せたと思う。国民民主党には私たちが気付かなかった視点やもっと深めるべき論点を出してもらい、感謝したい。補正予算案に限らず、税制改正や来年度予算案に関わることもたくさんあるので、今後も誠実な協議を続け、約束したことを国民の皆さんに適切に届けられるようにしたい」と述べました。
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国民 浜口政調会長「大きな一歩を踏み出せる内容」
国民民主党の浜口政務調査会長は記者団に対し「新たな政府の経済対策は、われわれが求めていたことに最大限の配慮をしてもらい『手取りを増やす経済対策』に向けて大きな一歩を踏み出せる内容だ。引き続き政策本意で議論しながら国民の期待や負託に応えていきたい」と述べました。
国民 玉木代表「ついに『壁』が動きました」
国民民主党の玉木代表は旧ツイッター「X」に「ついに『壁』が動きました。皆さんの1票が30年動かなかった壁を動かしました。でもまだ数センチ。勝負はこれから。後押しお願いします」と投稿しました。
立民 大西税調会長「野党第1党とも協議するのが筋」
立憲民主党の大西税制調査会長は、党の税制調査会の会合で「『年収の壁』の見直しや『トリガー条項』の発動などは私たちも求めているので結構なことだと思うが、本来、一部の野党とだけコソコソ話すことではなく、われわれ野党第1党にも内容を説明し、正面から協力を求めて協議をしていくのが筋ではないか。私たちもしっかりと税制改正について考え方を取りまとめて与党に申し入れをしていきたい」と述べました。
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【解説】交渉の裏側は?引き上げ幅はどうなる?
政治部・岩田純知記者が解説します。
-どんな交渉が行われてきた?
国民民主党の主張を与党が丁寧に聴き取る形で行われました。
交渉で国民民主党がこだわったのが、103万円の壁の見直しなど3つの項目を経済対策に明記することです。
ある幹部は「衆議院選挙で訴えた中心的な政策なので、一歩も引くわけにはいかなかった」と話していました。
これには、税収が減る内容も含まれていますから政府・与党内では、断定的な文言にするのは避けたいという考えもあったんです。
ただ、少数与党で今後の国会審議のことも考えると国民民主党の協力はどうしても必要ですから、主張をほぼ受け入れざるを得なかったというのが実情です。
-今後、具体化に向けた議論、焦点は?
103万円の壁をどこまで引き上げるのかという点です。
国民民主党は178万円までの引き上げを求めていますが、政府・与党内では、国と地方あわせて7兆円から8兆円の減収が見込まれるとして慎重な意見が大勢ですし、地方自治体からは強い懸念の声もあがっています。
こうした中、壁の引き上げには税制改正が必要になりますので、今後は3党の税制調査会長が、細部にわたって制度の検討をしていくことになります。
ただ、ある与党幹部は「国民民主党の顔を立てなければならないが、財源に大きな穴もあけられず、制度設計は非常に難しい」と話していました。
3党がそれぞれの思惑もある中で、地方への影響を抑えつつ、どのような合意点を見いだしていくのかが焦点となりそうです。
国民 自民・公明両党の経済対策修正案を大筋で了承
政府が週内のとりまとめを目指す新たな経済対策をめぐり、国民民主党は20日朝、会合を開いて自民・公明両党から示された修正案について協議しました。
修正案では、いわゆる「年収103万円の壁」について「税制改正の中で議論し、引き上げる」と明記したほか、ガソリン減税については「自動車関係諸税全体の見直しの中で検討し、結論を得る」としています。
会合では出席者から異論は出されず、続いて開かれた党の役員会で浜口政務調査会長と古川税制調査会長に対応を一任することを決め、修正案を大筋で了承しました。
これを受けて20日午後、自民・公明両党と国民民主党は、政策責任者による協議を改めて行い、経済対策について合意する見通しです。
その上で3党は、経済対策を速やかに実行に移すため、裏付けとなる今年度の補正予算案を早期に成立させるなどとした合意文書を交わす方向で調整を進めています。
国民 浜口政調会長「要望したものも多く反映」
国民民主党の浜口政務調査会長は記者団に対し「修正案について、おおむね理解してもらったと思っている。一任されたので、それを踏まえて午後の3党の経済対策の協議に臨んでいきたい。午後の協議が最終的な山場になる」と述べました。
その上で「要望したものも多く反映されており、われわれの求めたものを織り込んでもらった経済対策だ」と述べました。
3党の税調会長協議始まる
自民・公明両党と国民民主党は、税制調査会長による協議を始めました。
自民・公明両党と国民民主党は、先週、税制調査会長らが個別に会談しましたが、20日は3党がそろって協議に臨み、自民党の宮沢税制調査会長、公明党の赤羽税制調査会長、国民民主党の古川税制調査会長が出席しました。
この中で、3党は、新たな経済対策の修正案で合意する見通しとなったことを受けて、国民民主党がいわゆる「年収103万円の壁」を見直し、所得税の基礎控除などを178万円に引き上げることや、ガソリン税の暫定税率の廃止など減税の内容を説明したあと、具体的に意見を交わしました。
また、自民・公明両党は、できるだけ早く来年度の税制改正大綱をまとめる必要があるとして協力を呼びかけました。
3党の税制調査会長は、来週改めて会合を開き、国民民主党が主張する税制改正の項目の制度設計などについて協議することにしています。
自民 宮沢税調会長「議論を踏まえ 来週また話し合う」
自民党の宮沢税制調査会長は記者団に対し「与党からは『来年度予算案の年内編成のためには、できるだけ早く税制改正大綱をまとめたい』と申し上げた。いわゆる『103万円の壁』をどうするか、これから方向性を議論していく必要があり、議論を踏まえて、来週また国民民主党と話し合いをすることになるだろう」と述べました。
国民 古川税調会長「壁の見直しなど最重点項目で協議したい」
国民民主党の古川税制調査会長は記者団に対し「与党側に『年収103万円の壁』やガソリン減税などを最重点項目にして協議したいと伝えた。また政府側に『103万円の壁』の見直しにより、どれほどの経済効果が得られるのかを、試算して示してもらいたいというお願いもした。来週、再度協議をするので回答を待ちたい」と述べました。
全国町村会 吉田会長「財政運営に支障生じないよう強く求める」
一方、全国町村長大会では、自治体への影響を慎重に見極め、財政運営に支障が生じないよう政府などに強く求めていく考えが示されました。
「全国町村長大会」はNHKホールで開かれ、全国の町村長のほか村上総務大臣や自民党の森山幹事長らが出席しました。
この中で、広島県坂町の町長の吉田隆行全国町村会長は「年収103万円の壁」の見直しについて「町村に与える影響を慎重に見極め、財政運営に支障が生じないよう国に対し強く求めていく」と述べました。
また、このあと吉田会長は記者会見し「地方税収が減れば、行政サービスの低下につながる懸念もある。穴の部分を政府、国会でどのように対応してもらえるのか心配していて、全国の町と村の強い意志を訴えていきたい」と述べました。
“新宿区で85億 横浜市で1200億の減収” 首都圏からも意見
首都圏の自治体からも、地方財政への影響が甚大だとして、慎重な議論を求める意見や、国に代替財源の確保を求める意見が相次いでいます。
このうち、東京23区で作る特別区長会の会長を務める新宿区の吉住健一区長は20日の記者会見で、控除額が仮に178万円まで引き上げられた場合、23区全体の個人住民税がおよそ2400億円の減収になるという試算を明らかにしました。
そのうえで吉住区長は「新宿区でも85億円の減収が見込まれ、給食費の無償化や子どもの医療費助成など区が独自に提供してきた行政サービスを継続することは難しくなる。総選挙が終わり一種の興奮状態での議論になっているが、丁寧かつ慎重な議論をしてほしい」と述べました。
また、全国の市区町村の中で最も人口が多い横浜市の山中竹春市長は、会見で子育てや福祉、教育などに充てる市税収入の13%程度、およそ1200億円の減収になるという試算を明らかにしました。
山中市長は「壁」の見直しについて「人手不足が深刻化する中で労働力の確保につながり、経済の活性化にも寄与する」と一定の理解を示した一方で「地方財政への影響は甚大だ」として国に税制や社会保障などを一体的に見直し、代替財源を確保するよう求めました。
「103万円の壁」の見直しをめぐっては、さいたま市や千葉市、川崎市や相模原市など全国の政令指定都市の市長で作る「指定都市市長会」も18日に開いた会議で「行政サービスの提供に支障を来す可能性がある」として、代替財源を確保するよう求める意見をまとめています。
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年収103万円の壁 今の制度は
年収103万円の壁は税に関する「壁」です。これには「控除」という税の負担を軽くする仕組みが関係しています。
たとえば所得税は、収入すべてに税がかかるわけではなく、さまざまな「控除」によって一定額が差し引かれたあとの「課税所得」に税がかかります。
103万円とは「給与所得控除」の55万円と「基礎控除」の48万円を足したもので、年収がこれを超えると所得税が発生することから、超えないようにみずから働く時間を調整してしまうというものです。
「給与所得控除」とは事業者でいう「必要経費」のことです。
企業勤めのサラリーマンやパートなどの場合、仕事に必要なスーツや靴などは自己負担する場合が多いと思いますが、こうした諸費用が「経費扱い」としてあらかじめ一定額、差し引かれます。
差し引く額は年収が多いほど増え、最低額は55万円です。
「基礎控除」は最低限の生活費用には課税しないという考え方で、年間の所得が2400万円以下なら48万円が差し引かれます。
つまり、給与を得ている人は原則として最低103万円分が控除されることになり、年収が103万円以下なら所得税はかかりません(住民税は原則、年収が100万円を超えると発生)。
配偶者の場合は?
103万円の壁があると説明しましたが、そもそも壁はあるのかという議論が出ています。
それは配偶者がパート勤務をしているケースです。財務省はすでに税制上の「壁」はなくなっていると説明しています。
かつては配偶者の年収が103万円を超えると、納税者である夫などの配偶者控除がなくなり一気に税負担が増していました。
配偶者の年収が増えたのに世帯の手取りが減るという「壁」がありました。
こうした中、昭和62年に「配偶者特別控除」という制度が導入されました。
これは年収103万円を超えて配偶者の控除をいきなりなくすのではなく、段階的に減らすという仕組みです。
さらに平成30年からは、配偶者の控除が減り始める年収を150万円に引き上げました。
これにより、配偶者の年収が増えた際、世帯の手取りの上がり方がゆるやかになったとしても減ることはなくなり、税制上の「壁」は解消されたというわけです。
ただ、パートで働く人の中で「103万円を超えてはいけない」という“心理的な壁”が残りました。
パートで働く人に支えられるスーパーマーケットなどでは働く時間をみずから調整する人が多く、人手不足の一因になっているとも指摘されています。
さらに、夫などが勤める会社の独自の配偶者手当の支給基準を「年収103万円」としているところもあり、こうした点も「壁」が存在し続ける要因の1つとみられています。
扶養する子どもが働く場合は?
一方で扶養する子どもがアルバイトをしている場合は、税制上の「103万円の壁」は存在しています。
子どもの年収が103万円を超えると親が「扶養控除」を受けられなくなるため、税負担が増えることになります。
19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」の控除額は63万円です。
親の所得税率が10%ならおよそ6万円、20%ならおよそ12万円の税負担が発生するため、子どもの年収が103万円を超えてからはしばらく、世帯の手取りが逆に減る可能性があります。
なお、学生の子どもに対しては「勤労学生控除」という仕組みがあり、年収が103万円を超えても、130万円までは所得税がかかりません。
「年収の壁」見直し議論 そのポイントは
手取り収入がどう変わるのか?減税の効果は?複雑な制度と議論のポイントについてさらに詳しくこちらの記事で。
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